2010年7月14日水曜日

修論関係本 安心と信頼編

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今年の20、21冊目。

最近は修論のせいで、まともに本を読む時間もとれない。通勤の電車でもパソコンを開いてコチコチコチコチ。

往復で2時間弱時間が取れるのでそれはそれで、結構進みます。いやぁ良かったなぁ家が遠くて。

たまに本を読んだとしても、一部分だけ読むとかばかりなので、どれが読んだといえて、どれがいえないのかの線引きが非常に難しい。

という事でこれは、まぁ読んだと言えるだろうという本を書く事にします。この本は5回位読みましたが。

■安心と信頼

・相手の行動によっては自分の「身」が危険にさらされてしまう状態の事を社会的不確実性が存在している状態と呼ぶ

・相手が自分に対して好意を持っていることがはっきりとわかっているような場合には、相手が自分に対して意図的に損害を与えるような行動をしないと期待できる

・相手にとって搾取的に行動することが、相手自身の損失につながる場合自分を搾取するような行動にでない

・相手の行動によっては自分の「身」が危険にさらされてしまう状態の事を社会的不確実性が存在している状態と定義している。

・「安心」とは相手が自分を搾取する意図をもっていないという期待の中で、相手の自己利益に評価に根差した部分。「信頼」は相手が自分を搾取しようとする意図をもっていないという期待の中で相手の人格や自分に対して抱いている感情についての評価に基づく部分に限られるとしている。

・信頼は社会的不確実性が存在しているにも関わらず、相手の(自分に対する感情まで含めた意味での)人間性のゆえに、相手が自分に対してひどい行動はとらないだろうと考える事です。これに対して安心は、そのそもそのような社会的不確実性が存在していないと感じる事を意味するとしている。

・これまでの日本社会を特徴づけていた集団主義的な社会関係のもとでは、安定した集団や関係の内部で社会的不確実性を小さくすることによって、お互いに安心していられる場所が提供されていました。そこで人々が安心していられたのは、社会的不確実性が存在しているにもかかわらず相手の人間性を信頼できたからではなく、集団や関係の安定性がその内部での勝手な行動をコントロールする作用をもっていたから。

・日常生活のなかでわれわれの行動を規制しているさまざまな社会の仕組みを取り去ってしまい、顔を合わせてお互いの行動をほめあったりけなしたりする機会さえ取り去ってしまえば日本人はアメリカ人と比べて集団的に行動しなくなってしまう。

・安定した社会関係のなかでお互いの行動を観察して相互に影響を与えあうことのできない環境での、あるいはそういった関係にない相手に対する信頼の水準は日本人の間よりもアメリカ人の間で高い事も明らかにされている。

・日本と欧米でのビジネス慣行を比較して、日本では取引相手との「信頼関係」を作り上げる事が大事で、そうなるまで時間がかかるが、一度そういった関係が確立すればいちいち面倒な契約書を取り交わさなくても電話一本で取引が成立するといった逸話が良く使われます。日本社会でうまくビジネスをすすめるために重要なのは「信頼関係」を作ることだというわけです。このことは日本でのビジネス関係は集団主義的な関係、つまりその内部で安心していられる関係だということを意味しています。

・共同体に代表される集団主義社会では、自集団の仲間との関係では安心していられるが、よそ者に対して心を許さない傾向にあります

・仲間うちで安心していられるようにすればするほど、その集団の枠を超えた一般的な信頼を育成をすることが困難となってしまいます。

・まわりの誰も信頼できない社会では、自分の身と財産を守るために膨大なエネルギーがかかり、それ以外の生産的な活動に投入できる時間やエネルギーが大幅に制限されてしまいます。

・相手の意図についての情報が必要とされながらその情報が不足している状態を、社会的不確実性が存在している状態と呼ぶ。

・相手が信頼できるかどうか、相手を信頼をするかどうかが重要になるのは、この意味での社会的不確実性が存在している状態においてのみ。相手をだます誘因が存在していない状態や、相手の鼓動が完全に予測可能な状態では相手を信頼すべきかどうかという問題は生まれません。

・名前の通っているメーカーの製品なら信頼できるけれど、今まで一度も名前を聞いた事のないようなメーカーの製品は信頼できないと思うとしたら、その人は実際には信頼では無く安心について考えている。名前の通っている、メーカーは粗悪品を販売すれば評判が低下し、メーカー自身が損害をこうむってしまうからです。このことは評判を重視する有名メーカーの製品の購入にあたっては、社会的不確実性が小さいことを意味している。

・社会的不確実性への対応は主観的に不確実性を低下させると、社会的不確実性そのものの存在を客観的に取り去るやり方、つまり社会的関係の中に安心をもたらす仕組みを組み込むやり方がある。

・安心を持ちこむ具体的な方法としては、「人質交換」「人質提供」と呼んでいる方法がある。

・人質が見つからない場合には特定の相手との間に安定したコミットメント関係を作る方法がある。

・コミットメントとはお互いに相手に魅力や好意を感じている状態

・お互いに魅力を感じる事で結びついている関係を「恋人型コミットメント関係」

・社会的不確実性を減らす為にうまれたコミットメント関係が「やくざ型コミットメント関係」⇒いろんな人と取引をするととの度に大変だから同じ人と取引をおこなう事で継続的になっている。

・社会的不確実性が多いと人はコミットメント関係を築く

・コミットメント関係は社会的不確実性を低下させ安心を生むが、副作用として機会費用を増やす

・機会費用:ある行動に投資した費用や時間を別の行動に投資した場合に得られる利益のこと。

・取引費用:取引をする為にかかる費用、取引をする事で失われる利益

・社会的不確実性が大きな環境での取引には大きな取引費用がかかる

・特定の相手との間にコミットメント関係を形成してその内部で社会的不確実性を低下させれば取引費用はちいさくてすむ⇒コミットメント関係は取引費用の削減効果がある

・特定の相手との間にコミットメント関係を形成する事が賢いかどうかは取引費用の額と機会費用の額の相対的な大きさで決まる

・いったん形成されたコミットメント関係を解消する事は簡単ではない。

・機会費用が取引費用を上回るようになっても人々は従来のコミットメント関係を維持する傾向にある

・「安心」の呪縛から人々を解き放ち、外部に存在する機会の利用を可能するのが特定のコミットメント関係に無い人間に対する信頼、つまり一般的信頼の役割



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