2010年4月27日火曜日

経営の精神

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今年の13冊目。

修論もとりあえずは、ひと段落着いたので、本を久しぶりに一冊読みました。おかげでmumuyauさんには限りなく差を広げられていますが。

本自体も最近読んでるような重た~い学術本とは異なり、字も大きく、余白もたっぷり。(なんて子供みたいなこと言ってますね)

しかし以前、著者のお話を聞いた時に、本を読むときは、行間を読めと言われていました。字が大きく余白もたっぷりという事はそれだけ、読まなければいけない、行間がたっぷりあるという事なんでしょうか。

そんな訳ないか。

■企業の目的

「産業を通じた社会への貢献」松下幸之助
「従業員の幸福を実現すること」稲盛和夫
・利益は手段であり企業活動の結果

■経営の精神

・資本主義の企業を成り立たせるためには三種類の精神が必要
・日本の企業の中でこのバランスが失われている
・日本の経営を理解するキーワードは愚直の経営
・製品のまねはできても精神のまねはできない

①市民精神:社会や職場のルールや約束を守り、真剣に仕事に取り組もうとする勤勉さ、克己心および従順さ。

・教育の結果として生まれてくる
・伝承のためには習慣化、厳しく叱る、些事へのこだわり

②企業精神:何ものかを追い求め、様々な障害を克服しても志を成し遂げようとする精神。闘争心、志を実現しようとする強靭な意志

・直面する困難を克服するために必要なもの
-意志力
-精神的自由
-社会的抵抗と戦う闘争心

・満足の文化の中で失われている。

③営利精神:抽象的な利益にこだわり、そのために合理的判断を働かせようとする精神、自分自身の利益をもとに考えようとする自利の精神

・利益は厳しく追求するが、利益は目的ではないという姿勢

・利益追求の効用
-営利へのこだわりがもたらす合理的判断
-自利を考えて行われる行動の強さ

・利益追求の欠点
-短期的な利益を優先し、長期の利益を軽視してしまうこと
-利益を前面に出すことで取引相手に警戒心を与えてしまうこと

・良いことをしていれば利益は後からついてくるという思想が定着

■今の日本

①市民精神の衰弱
②企業精神の弱体化
③営利精神ばかりが強くなっている

・理由
-経営精神の軽視
-慢心(長時間労働が無くなってきている)
-満足の文化の蔓延
-グローバルスタンダードの幻想(日本の強みの喪失)
-四半期決算
-J-SOX

■復興のために

①厳しい競争に身をさらす
例)ホンダ中国と提携、サントリーのビール事業

②事業の絞込み

③経営精神の可視化

④経営者の自信回復
・経営者の直感的選択への確信を支えるもの
-ひたすら考えること
-能動的戦略観:未来は予測できないが創る事はできるという思想
-現場の確かな実行力への信頼
-現場の柔軟実行力、戦略を柔軟に実行できる適応力
-経営者の知性あるいは教養、素直な気持ち

⑤従業員のコミットメントを高めることにより市民精神や企業精神を高める
・終身雇用のように単に雇用が長いだけでなく、働く人々と職場共同体との間に障害にわたる強い連帯感があるということ
・改善へのインセンティブ、社内統制コストの削減、人材投資

⑥会社統治制度の再改革
・内部統制制度の見直し

⑦経営教育制度の見直し
・実務知識は不可欠だがそれ以上に人と社会についての深い洞察が不可欠。
・洞察力は長い経験や深い学識から生み出される。

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