2009年6月26日金曜日

21の人事破壊

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こんな事本当にできるの?っていう気持ちです。MCの村上隆さんも同じような感想を言われていましたが。

今週のカンブリア宮殿は広島に本社のあるメガネ販売チェーン「株式会社21(トゥーワン)」の創業者平本さんを迎えての話。21はノルマなし、管理職なし、社長は飾り物、会社に利益を残さないというユニークなというか普通に考えたらありえないようなやり方で成長を遂げ、広島でメガネ販売シェアNo1の実績を残している会社です。今回は第1回目という事で会社に利益を残さないというところにフォーカスした話でした。

じゃあどれくらい会社に利益を残さないかというと、直近の業績は売上83億円に対して経常利益450万円。なんと経常利益率0.05%です。

会社に利益を残さない為に行なっている事は(へんないい方だな)、売価を下げる事で顧客に還元する、ボーナスで社員に還元するという二つの事です。

売価に関しては原価率70%(粗利30%)まで値下げをしますと明言し、競合に対して低価格戦略をとっている。そもそもメガネってものすごく利益率の高いんですよね。最近増えてきた2プライスのメガネショップなんか見ると今までのメガネはいったいなんだったんだというような気持ちが。まぁこれはそこそこありがちな話ですね。

そして社員への還元。残った利益をほとんどボーナスとして社員に支給しているそうです。もちろん利益を残さない為に還元するので業績との連動する側面は多いでしょうが、業績のいい時なんかは冬のボーナス1回で一番多い人で570万円のボーナスが支給されたそうです。小売ってあんまり給料が良くないイメージがあるのですが(間違ってたらごめんなさい)その中でこの金額は破格といっていいんじゃないでしょうか。当然小売という枠を超えてみても破格ですが。ちなみに平本さんは社員の最高支給額を翌年役員報酬としてもらうそうです。

会社に残った利益、つまり内部留保の効果として、将来の投資に備える、業績の悪い時のクッションという役割がありますが、内部留保せずにどうやって対応しているの?そういう疑問が当然わいてきますよね。

将来の投資への対応については、21では新規店舗の出店や新規投資を行なう時に社員から出資を集める社員出資制度というのがありそれで対応しているそうです。例えば新聞の前面広告をうつお金が足りなかったら、不足分を社員から集めるという事です。ちなみに出資は無担保で配当は年1回。配当利回りはな・な・な・なんと驚きの10%!社員の全員の出資額は10億円近くになっているようです。支払利息1億円。ちなみに今年から不況の関係で利回りは2%になっているそうですが。

次に業績悪化時のクッションの役割について。

好業績時に社員に多くのボーナスを還元しているんだから、業績が悪い時はマイナスのインパクトもある事を忘れてはいけない。業績の悪い時には大幅な賃金カットもあるという事でしょう。しかし社員は好業績時に蓄えた貯金があるはずだから、ある程度の賃金カットにも耐えられるはず。それがクッションの役割になる。

平本さん曰く内部留保をしていないんじゃない。会社にせずに社員にしている。そして経営者と労働者はチームメイト。社員・出資者双方が喜ぶ事をするのが経営の役割者だそうです。

そして当然わいてくる素朴な疑問点。

・社員に還元しないで内部留保し投資したほうが効率的なんではないか?
・業績悪化時に本当に社員は給料下がっても納得するのか?⇒過去にもらったことは忘れて減った事に文句を言うのが人間じゃないでしょうか。僕だけ?
・業績悪化時に出資が集まらず投資できないという負のサイクルにはまりやすくなるんではないか?
・株主は?⇒これは平本さんなんでしょうね?
・出資ではなく社員に株主になってもらうのと比較してどうなのか?

でつきつめて言うと冒頭書いた「こんな事本当にできるの?」になるわけですね。しかし組織的な視点、財務的な視点両方でおもしろそうなので今後ちょっと考えて行きたいと思います。

平本さんは元々大手のメガネチェーンをリストラにあい、自ら21を創業。リストラにあった経験から「恕(じょ)の心」人からされたくない事は自分も人にはしない。つまりは思いやりの心をベースに経営を行なって、今のような会社なったそうです。ちなみに愛読書は論語。恕という言葉も論語に書かれているようです。

という事で来週は、管理職もゼロ、社長を含めて全員がフラットな21の組織について。

来週のカンブリア宮殿は見逃せない!Don't miss it!

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