2009年5月3日日曜日

経営と執行の分離

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昨日のケースで、アメリカのコーポレートガバナンスについて理解していないので、理解できないところがあった。いいタイミングで「アメリカのコーポレートガバナンスについて教えてください」という質問をしてくれ人がいて良かったです。ホントありがとうございます。

簡単に言うとよくCEOという言葉つかわれてるけど、CEOって社長と違うの?っていう事ですね。

本当は監査人として当然のごとく知っとく必要があったんですけどね。

■アメリカのコーポレートガバナンス

・会社を所有する「株主」と、その代理として会社の経営方針等を定める「取締役」、日々の経営の実務を執行する「執行役員」の3つに分かれている。
・株主が直接経営の監視は出来ないので、代理人である取締役を雇う。メインは社外取締役。取締役が株主の代理としてもつ権限は、CEOなどの主な執行役員の人事権・報酬設定権、経営目標の策定、配当、大きな経営決定権限など。
・執行役員は大まかな取締役会の決定に従って実務を担当する。(○○事業で売上10%伸ばせーなど)
・メリット
‐株主の意向が反映しやすい会社となる(株主が賛同するような提案をしなければ、株主代表訴訟の対象になる)
‐執行役員(経営者)も緊張感があり、報酬や実績の評価に透明性がある
・デメリット
‐アメリカでもCEOだけは取締役と執行役員を兼任していることが多い。
‐取締役会の議長(つまり会長)も兼任しているケースではオーナー経営者のような独裁者が出てしまう。
・エンロン事件以降はCEOが取締役会の議長になってはいけないようになってきている。

■日本のコーポレートガバナンス

・取締役と執行役員の分離も明確ではい企業が大半。取締役会は機能していない。
・日本でも社外取締役を入れるケースが出ているがまだまだ少ないしマイノリティであるため機能していない。
・メリット:経営陣は取締役兼任の執行役員なので、株主の短期的な要求に応えず、長期的な経営が経営陣の自由に出来る。
・デメリット:会長、社長が社内の人事権を全て掌握しており、外部のチェック機能が働かない。
・過去の日本では、「メインバンク」が経営に密接に関与していましたため監査役や取締役を派遣して、融資を人質にとって経営への強い影響力を持っていた。これが破綻してから、日本のガバナンスは迷走をはじめた。
・社外取締役を務めれるだけの人物、プロ経営者がいない。

■日米比較

・アメリカも経営と執行の分離がおこったのは1980年代。
・取締役会メンバーがCEO以外が社外取締役になったのが1990年代
・日本は経営と執行の分離が今起こっているところ。アメリカと比較し30年程度遅れている。

■監査の立場は(補足)

・日本では取締役の職務の執行について監査を行う。(株主からの委託を受け経営している取締役に対してチェックする)
・アメリカでは基本的には執行に対するチェックは取締役が行っている。監査は基本的には外部監査と内部監査の2種類
・取締役会内の監査委員会が外部監査人を選んでいる。

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