2010年1月14日木曜日

ガラパゴス化する日本の製造業

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今年の2冊目。

山場が越えてひと段落ついたと思っていたら、いきなり修論前回モードです。

授業も幸い修論テーマとかぶっているものが多いので必死のパッチでガンバリマス。


■市場背景:日本は現実を直視する必要がある

・世界では80%以下がミドルレンジにも関わらず、日本は特殊なハイエンド市場になっている
・新興市場が急速に伸び日本の市場は世界の30分の1レベル⇒BRICsも意識した製品開発が必須
・日本と異なるビジネスモデルの出現(台湾型ビジネスモデル:ボリュームゾーンを狙い撃ち)
・ダブルスタンダード化:日本の標準である高品質・高価格と、世界の標準である普通の品質・低価格の2つ市場が生まれること⇒日本市場はガラパゴス化している
・日本企業は営業利益率が悪く、コスト競争力を失っている

■事業環境

・エレクトロニクス事業環境を考える切り口

①人口、経済力と自国市場のみでビジネスできるか?および言語対応:自国に大きな市場が無い韓国台湾
②ハイテク優遇制度:圧倒的に少ない日本の税制優遇
③徴兵制と兵役免除、理系就職の国家的支援:韓国台湾は国家的バックアップ体制
④エレクトロニクス市場への本格参入時期:技術進化が早い為、後発企業に有利に働く場合あり
⑤米国との関係:水平的な米国との分業を行っている台湾企業

■台湾企業:90年代後半からエレクトロニクス産業のコスト構造を破壊し新たなビジネスモデルを創造

・台湾企業の特徴

①とびぬけた専業企業が出現
②水平分業モデルを採用、専業メーカーが多い
③グローバル市場を強く意識
④エレクトロニクス関連の企業数が非常に多くすそ野が広い
⑤日本企業と直接競合していない分野もある
⑥中国本土の企業とは一線を画す
⑦日本企業との関係は親和的な場合が多い
⑧米国との関係が深い
⑨PCを中心に世界の最先端の技術情報、顧客情報が集まる拠点となっている

・台湾企業成長の理由

①米国シリコンバレーとの人脈
②水平分業モデル、製造装置との分業化
③数の論理とBRICs市場の拡大
④人件費の安い中国市場での生産が可能なこと
⑤島国で集中投資が可能、情報の行き来も数時間ですむ
⑥エイサーからの20年以上の蓄積
⑦親日であることから日本からの技術流出を容易にする
⑧英語、中国語の二刀流
⑨国家の徹底的なバックアップ(誘致、税制、教育)

・台湾のエレクトロニクス企業

・EMS企業:メーカーからの受託で生産を専門的に行う
・ODM企業:相手先のブランド名で設計から製造まで手掛ける
・台湾の有力企業:ホンハイ、TSMC(半導体ファウンドリ)、AUO(液晶)

・台湾企業のリスク:中国大陸のローカル企業のキャッチアップ

■韓国企業(サムスン)

・サムスンの特徴

①果敢な設備投資でボリュームゾーンを徹底的に狙う
②半導体、液晶パネル工場などの徹底した集中投資
③サムスン系列も駆使したシナジーある垂直統合モデル

・日本企業との相違点

①グローバル市場を強く意識
②広告投資なども旺盛でブランド意識も高い
③執念の違い、撃たれ強さ
④儲ける時は徹底して儲ける
⑤マスマーケットに集中し、シナジーを追求した垂直統合を実践
⑥トップダウンとピラミッド型組織経営
⑦GDPに占める比率が高く、韓国そのものを支える企業
⑧大手電機メーカーが韓国は2社、日本は9社

■世界的潮流

・標準化を利用した企業が優位に立つ
①ルールを作った企業は日米欧が多い
②韓国台湾企業がルールを作る事は珍しい
③ルールを作った企業が必ずしも儲かるとは限らない
④ルールをうまく利用した企業がカツ
⑤世界のルールにすることが大切(国内だけでは不十分)
⑥特許の強い主張は一つの手段、執念が大切(特許を攻撃的姿勢で守る)
⑦ルールを作らないのも選択肢

・グローバル化の影響:給与体系、雇用体系、職に対する意識の相違

■世界で勝ち抜くためのビジネスモデル

・日本企業の躍進に対してジャックウェルチがした事
①日本企業の実力を認める
②日本と直接競合をさけるような事業分野を取捨選択
③テレビ、半導体売却、放送、医療機器を買収
④すばやい意思決定
⑤人員削減を含む事業構造改革を断行

・日本企業が韓国台湾企業と直接競合を避ける分野とは
①すり合わせ技術が生かせる
②機械的な機構部品が必要
③環境問題などで厳しい制約
④製造ノウハウが外部流出しにくい
⑤命にかかわり事故が絶対にゆるされない
⑥顧客から製造コストがみえないようにする
⑦最先端の技術力を発揮できる成長市場がある

・優良電子部品メーカ:日本電産、村田製作所など
①専業化が進んでいる
②工場のアジアシフトが進んでいる
③製造にすり合わせ技術が必要で工場のブラックボックス化が進んでいる
④技術力を駆使できるハイエンド市場が豊かに存在
※経営がトップダウンで迅速
※ローエンド企業とのチキンレースは避けている
※グローバル相手にビジネスしている

・解決しないといけない課題
①国内企業同士の合併がカニバリを生む
②M&Aの対象事業が対象企業の一部にすぎず再編が進みにくい
③リストラしにくい事業環境

結局「敵をしり己をしれば百戦危うからず」という事です

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