2008年2月17日日曜日

任天堂のマーケティング戦略

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もう既に雑誌、新聞等で色々語られている事も多いですが、今回はDS、Wiiが大ヒットした任天堂のマーケティング戦略について考えてみたいと思います。

■経営戦略とマーケティング戦略

あたりまですがマーケティングも企業の活動の一部であるため、経営戦略を実現する為にどう市場と接していくかという事からマーケティング戦略を考えることが重要である。そこでまず最初に任天堂の社長である岩田社長はホームページで次のようなメッセージをのせている。

「任天堂の基本戦略は「ゲーム人口の拡大」です。そして、任天堂は、それを実現するために「世界中の一人でも多くの方々に、年齢・性別・言語・文化の違いやゲーム経験の有無を乗り越えて、ビデオゲーム・エンターテインメントを受け入れて楽しんでいただくこと」を目指し、チャレンジを続けてきた。

そしてDSを、過去においてはゲームとは考えられていなかった分野を次々に取り込むことで「所有者の生活を豊かにするマシン」として、またWiiを、家庭のリビングルームにおけるコミュニケーションを促進する「取り巻く人々を笑顔にするマシン」として全世界により深く浸透させていくことを目指します。」任天堂ホームページより

つまり任天堂の経営戦略である「ゲーム人口の拡大」を市場でどのように実現していくかという事が、マーケティング戦略の目的になる。それが「年齢・性別・言語・文化の違いやゲーム経験の有無を乗り越えて」直感的に楽しむ事ができる独特なDSやWiiという製品につながった。

■任天堂の経営課題

まず最初に経営戦略である「ゲーム人口の拡大」。これはゲーム市場が縮小してきているという課題を解決する為の戦略である。

ファミコンからスーパーファミコンのように単なる技術的な進歩(画像の綺麗さや動きのスムーズさ等)は既存のゲームユーザーだけをターゲットにしたマーケティングである。ゲーム市場が未成熟で単にそれだけで市場が拡大できた時はそれでよかったかもしれないが、ゲーム市場が成熟しきった現在ではそれだけで市場拡大するのは困難である。またそのターゲットがインターネット等その他の技術の進歩により減って行き市場が縮小している事。それが任天堂の経営課題であった。

そして任天堂が行ったのが既存ターゲット以外を取り込み事による市場拡大だ。タッチペン、Wiiリモコンなど体感的に遊ぶ事がコントローラーを採用する事で今までのターゲット以外のセグメントに対するマーケティングをしたのはもうご存じのとおり。

そしてDS、Wii共に大成功をおさめ、新たなターゲットの開拓に成功した。そして岩田社長が「所有者の生活を豊かにするマシン」として、Wiiを「取り巻く人々を笑顔にするマシン」を目指すと言っている。次のステージにきた。

ハードだけでなくソフトも含めたゲーム市場というのは単にゲーム人口だけでなく「ゲーム人口×ゲーム時間」で表されるのではないだろうか。つまりゲーム市場の拡大という課題を解決するには「ゲーム人口の拡大」×「ゲーム時間の増加」になる。いいかえれば消費時間シェアの拡大だ。

任天堂はゲーム人口の拡大だけでなく消費時間シェアを拡大する為にマーケティングを考えなければならない。それが「ゲームとは考えられていなかった分野を次々に取り込む」「家庭のリビングルームにおけるコミュニケーションを促進する」事だ。

■任天堂の参入市場

自社の参入領域をどうみなすかというのは「戦略的近視眼」としてよく語られるテーマだ。テレビの発達した時の映画会社が自社の参入領域を「エンターテイメント産業」ではなく「映画製作会社」とみなしていしまった為衰退を招いたという話だ。

任天堂は自社の参入領域を単なるゲーム産業ではなく「ソフト、ハードを使って時間を消費する産業」といったように定義しているのだろう。そうする定義する事で競合がPS3といった単なるゲーム機やパソコンだけでなくもっと広く考えられる。

だから様々なソフトを提供する事で料理に使う時間を奪い、勉強時間を奪い、家計簿をつける時間を奪う。またWiiFitを発売しフィットネスクラブに行く等外に出る時間までをも奪い消費時間シェアを上げようとしている。

■今後のマーケティング

Wiifitが100万台を超す大ヒットしているにはご存じのとおり。そして「Wii×光フレッツ」という事でWiiのネット接続を加速し、リビングでできる事のさらなる可能性を追求していくのだろう。

■感想

今回は実際のマーケティングミックスではなくもっと上位概念である、経営戦略とマーケティング戦略の整合という部分を考えてみた。

マーケティングというと実際目に見えるマーケティングミックスを考えてしまいがちになる。しかしそのマーケティングミックスをするにいたったプロセス、どのようなマーケティング戦略を実現する為にこのマーケティングミックスが行われているのか、またそのマーケティング戦略はどんな経営課題を解決する為に行われているのかを考える必要がある。

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おそらく一般に言われている事と同じことを書いただけだと思うが改めて任天堂ってすごい会社だなと思う。

今回は経営戦略とマーケティング戦略の部分を確認したにすぎないので、マーケティング戦略をうけて実際どのようなマーケティングミックスを行っているのかも考えてみたいと思う。

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