2009年3月4日水曜日

経営は十年にしてならず

Clip to Evernote
今年の8冊目。今週の1冊目。

ローマ-は1日してならず。そして優良企業もしかり。

優良企業が最高の能力を発揮するためには一人の経営者による10年以上の長期政権が必要。大企業の経営者と名のつくものは駅伝の一区間ではなくフルマラソンを走りぬき大計を成し遂げることを理想とするべきである。

という事で「リコーの浜田広」「花王の丸田芳郎」「田辺製薬の平林忠雄」「キヤノンの御手洗冨士夫、賀来龍三郎、御手洗毅」「GEのジャックウェルチ」の事例をとおして一人の経営者が長期政権の中どのような事を行ったかを研究した本。

私が目標どおり、50才までに社長にったらちょうど10年の長期政権を築ける予定です。社長になる為の能力を身につけるのではなく、経営者として改革をしていけるような人間にならなければいけないと思いました。

リコー 浜田広

・企業ドメインの設定 ドメインを文字を処理するのではなく画像を処理するとしたことで画像処理のデジタル化をすすめた。
・技術の育成 地道な蓄積だけでなく研究所の設立、先行投資等を行い技術育成を行った
・責任をとる 商品発売権を自ら握り、事業部長レベルではできない不採算事業からの撤退や高コストなデジタル複写機の投入を行った。
・大局観の養成 若くして社長室長になり企業を俯瞰する事で大局観を養った。
・トップの要件とは自分の分野の習得、リコー全般の習得、人間性
・技術と販売の関係を濃密にできる相手役との出会い

花王 丸田芳郎

・強さ 改革を経験に伴う熟慮に裏打ちされた信念によって強く推し進めていったり、全員を鼓舞する最後の一声を発する力を持っていた。
・創造は心の中から出てくる。豊かな情熱が英知と重なってこそ真の想像がありうる。そしてそれは青年期にぶち込んでおかなければいけない。
・大局観を持つ
・本人だけでなく役員の果たした役割も大きい

田辺製薬 平林忠雄

・開発基盤の確保 研究室に人材投入、無配時にも研究開発費投入
・利益を度外視した戦略 「最初から儲けようと思っていない、わが社の研究と技術の高さを世界各国に示すことができたらそれで十分である。」
・事業への思い 兄の死
・常識に惑わされない 青年期に学んだ真実一路の精神と経済学の原理が通説に対する抵抗力となった
・失敗から学ぶ
・経営観 知識を持つ、興味を持つ、アイデアを生み出す、真実一路、勇気ある実践

キヤノン 御手洗冨士夫、賀来龍三郎、御手洗毅

・オーバーエクステンション(経営戦略の論理 伊丹敬之)
企業が現有資源と組織能力を部分的に超えた挑戦をすることから生まれる不均衡が、企業の成長ダイナミズムをもたらす
オーバーエクステンションの条件:強力なリーダーシップ、財務的体力、見えざる資産の蓄積を進めること、競争上の弱みを補完するプロテクションを持つこと、苦しい競争に耐えながらも敗退せずに粘ること

GE ジャックウェルチ

・どのような組織にしようが、ボトルネックはトップの管理限界にあるので管理する対象でなく管理する中身を変えた。
・個別の事業には寿命がある。企業が生きながら得るために事業ポートフォリオを組み替えるのがトップの仕事
・どこまで難しい仕事に挑む覚悟を持ち、どこまで遠い将来のことを真剣に考え抜くかが重要
・事業選択の基準を持つことがポイント 
ウェルチのポイント 新規参入は皆無に近く、少数大手間の競争が繰り広げられる業界で、民間か規制緩和された業種を対象に、グローバルに広がりを持つ特定多数の顧客を相手に、取引を繰り返し行うが、先導的な主要顧客は米国にいて、製品に工夫の余地がある
・組織は人に従う いくらよくできた組織でも、それが機能するかどうかは誰がそれを率いるかによる。逆に秀でた人間が率いれば、できの悪い組織もなんとか機能する。
・事業計画を形骸化させない 事業計画は事業組織が自らのためにつくるもの。社内の儀式が優先されて社員のエネルギーが顧客に向かわないとしたら、由々しき無駄である
・ウェルチが人員の見極めを行う際にした質問
1.市場はグローバルに動いていて、今後数年間にどう変わるのか?
2.競合はこの流れを変えるべく、直近の3年でどのような動きをとってきたのか?
3.こうした流れや動きに対して、直近の3年であなたは何をしてきたのか?
4.向こう3年で競合がとりうる行動のうち一番恐るべき可能性は何か?
5.以上すべてを考慮したときに、もっとも有効な対抗策は何なのか?
・標準化 仕事のプロセスとそれを支える言語の体系がGEのなかでは標準化されている
・ゴールを見た経営 最初から15年あれば何をできるのかを見つめていたからこそ大きな仕事ができた
・人材育成を重視 人材の成長のためには自己啓発、組織風土、人材計画、社内教育が重要
・経営理念の明確化 組織理念が明確化されているために、多様な個人の哲学に依存しなくてすむ
・自らの考えを緻密な文章に現せるまで研ぎ澄ました
・分権化の理念(コーディナーの書いたGEの分権化の理念)
1.分権化は決定権限を現場に置く
2.包括的にみてそれが望ましいのは、生きた知識と生の理解に基づいて判断を下させるから
3.詳細な報告や事前承認が求められるようでは、分権化は機能しない
4.分権化は大抵の場合下の人間が健全な判断を下すだろうという信頼の基に成立する
5.本社は少数精鋭のベテランで構成し、現場にサポートとアドバイスを与えるだけ
6.中央集権の経営計画は分権経営に勝てない
7.経営目標、組織構造、経営政策、業績指標は全社で共有するが、その適応の仕方はバラバラでよい
8.任せたといいながら任せきれない上司は自立した部下の成長を妨げ、組織を混乱に陥れる
9.決定権限を握るものはそれに付随する責任を全面的に自覚しなければならない
10.人事は業績を測定して、成長に報酬で応えると同時に無能を組織から除外しなければならない。


0 件のコメント: